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グリシンのはたらき
グリシンはなんでも屋さん?
グリシンはその構造により、さまざまな理化学的反応、作用をおこします。
緩衝作用 – 酸性・アルカリ性 pHを一定に保つ –
グリシンは酸性側でもアルカリ性側でも解離する両性イオンでpH2~3、pH9~10付近で緩衝作用(pHをほぼ一定に保つ作用)を示します。
その安全性から、胃腸薬などの制酸剤に副原料として利用されています。
炭酸カルシウム及び水酸化マグネシウムなどの弱アルカリ物質は胃液中の胃酸を中和しますが、グリシンは緩衝作用によって胃液の酸性度を和らげます。
キレート作用 – 金属を溶かす! –
アミノ基とカルボキシル基の両方を持つアミノ酸であるグリシンはキレート作用を持っています。
キレートにより、溶けにくい金属が溶ける場合があります。
リン酸緩衝液中では溶け難い2価の金属塩がグリシン溶液中では溶解する場合があります。工業用途として、CMPスラリーやメッキに用いられています。
メイラード反応 – 糖と一緒に、おいしそうな色と匂い! –
アミノ酸と糖は、加熱することによりメイラード反応を起こし、色付き、香りが出ます。
グリシンのこのような性質は、お菓子の焼き色などの食品の着色や着香に使われます。
この反応はpHや温度が高いと早く進行します。
また、糖の種類によっても反応の速さが違います。
ペントース(五単糖)>ヘキソース(六単糖)>二糖類の順で着色が強くなります。
着色を防ぎたい場合は、pH や温度を下げたり、糖を反応の起こりにくい糖アルコールに変えるとメイラード反応が進行しません。